long dream of うたぷり

□QUARTET★NIGHT
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香はシャイニング早乙女からの電話を受けて、呆然としてしまった。
いつだってあの人は突然で勝手だ。
それはわかっていたけれど、まさか。


「勝手に引っ越しとか決めないで下さいよぉ〜!!」


シャイニング早乙女からの電話と同時に現れた引っ越し業者。
彼らは慣れた手つきで部屋のものを段ボールに詰めては運び出す作業を笑顔で行っていた。

「それではぁっ!寮でお待ちしてまあす!ミス河嶋〜!!」

ガチャッと切られた電話を手にしたまま、香はだんだん綺麗になっていく部屋を見つめてため息をついた。

こんな風に勝手にされるのは慣れていた。
流石に引っ越しまではなかったけれど、半年前に事務所に呼ばれたときはいきなり「これからは彼らの曲をお願いしまあす!」と言われて、四人の写真を叩きつけられた。
それまでは事務所のアイドル専属という形で曲を作ってきたが、こんなふうにひとつのグループの専属になれと言われたことはなかった。
しかも、この四人はグループとして活動しているわけでもなく、たまたま今回の企画に上がっただけの四人。

「曲が良ければ彼らをグループとしても売り出していきまあっす!!」

それは、実質。

曲が悪けりゃクビ。


ということ。
香は必死で曲を書き上げたのを思い出して背筋をぶるっと震わせた。


「あー…やだなあ…」


嫌がっていても寮に行かなければ宿無し職無しになってしまう。
仕方なく引っ越しトラックに同乗させてもらい、初めて行く新居へと向かった。
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