long dream of 進撃の巨人
□愛を知る
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訓練期間も残すところあと半年となった頃、コウは違和感を感じていた。
アニのことだ。
アニはもともと話す方ではなかったし、冷めた感じではあったが、ここ最近のアニは不自然なくらいに コウを避けているような気がしていた。
一度アニに聞いたことがある。
「私、何かアニを怒らせるようなことをしたかな?」
だとしたら謝るから、また前みたいに仲良くしてほしいと。
アニの返事は冷めたものだった。
「別に」
コウは昔を思い出していた。
父親を亡くして、友達がこんな風に避け始めたことを。
でも、ここの友達はそうじゃないと思っていた。
父親の力で友達になったわけじゃない。
だけど、どうしても卑屈になってしまう。
私の何がいけなかったのだろう。
背を向けて寝ているアニの背中を見てから、コウもアニに背を向けて目をつぶった。
おかしいと感じていたのはアニだけではなかった。
訓練兵全体がどこか牽制しあっているような、そんな空気が漂っている。
いつかアルミンに相談したことがある。
「仕方ないよ。あと少しで上位10名が決まるんだから。
皆、憲兵団に行きたいから」
だから、お互い牽制しあっているのだろうか。
今まで仲良かった人達がよそよそしく、上位と下位の接触はほとんど無くなった。
コウは上位にはいたが、10位以内に入る程ではない。
憲兵団に入りたいと思っているわけではないコウは気にしていなかったが、そのどちらでもいいという態度も周りの反感を買っていた。
「寂しいな」
そうこぼしたとき、ミカサはコウに言った。
「ここはそういうところ。友達を作る場所ではない」
そう言われた。
確かにミカサの言う通りだった。
ここは兵士を育てるところで、学校だとか友達を作る場所ではない。
わかってはいるけど、やっぱり寂しかった。