long dream of 進撃の巨人

□ピクニックに行こう
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コウは眠れなかった。
こんなに、気分が高まっているのは久しぶりだった。

シガンシナに出掛ける時もこんな感じだったなあ。

コウが寝返りをうつと、隣で寝ていたアニが目を開けた。


「…眠れないの?」

「うん…なんか…楽しみで」

「子どもじゃないんだから」

アニはクスッと笑った。

「寝不足じゃ楽しめないよ」

そう言ってアニは目を閉じて布団を被った。
コウは小さく、うん、と言って目を閉じた。




いつ眠ったのかはわからなかったが、鳥の声で目が覚めたときにはとてもスッキリした感覚だった。

結構眠ったなと思って隣を見ると、アニは既に布団にはいなかった。

「あれ?」

慌てて部屋を見渡すと、今日ピクニックに行くメンバーがいないことに気がついた。
時計を見ると五時をまわっていた。


「あ!」

コウは寝ている人達を起こさないように、静かに準備をして厨房へと走った。
厨房のドアの向こうでは笑い声が響いていた。

そっとドアを開けると、すぐにクリスタが気づいて笑顔を向けた。

「おはよう!」

「おはよう…。あの、ごめんなさい、寝坊しちゃって…」

「いいから早く手伝ってよ。ほら」

ユミルはそう言って芋を投げてコウに渡した。
コウはぎこちなく芋の皮を剥き始めた。
そのぎこちなさをユミルは笑った。
クリスタはそれを注意して、コウの隣に座り剥きかたを教えた。

芋を揚げると真っ黒にしてしまうコウは、サシャに芋を上げるタイミングを教えてもらった。

「…あんた不器用だね」

「う…ごめん…」

「あはは、なんかコウも普通の女の子なんだなって。
ミカサとアニもちょっとくらい出来ないこととかあったら普通の女の子なのにね」

「…どういうことさ」

「ミーナ、私たちが普通の女の子ではないと?」

「いやいや、逆に普通の女の子だと思えてることに驚きだっつの」

ユミルはそう言ってばか笑いした。
コウも、少しだけ笑った。
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