long dream of 進撃の巨人

□入団式と再会
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コウはあの日から何かに期待することはしなくなった。
だけど、この日初めて奇跡を実感した。

「…もしかして…コウ…?」

その声にどこか懐かしさを感じてコウは振り返った。
そこには、懐かしい友達がいた。

「…え…アルミン?」

「やっぱり!すごい偶然だね!元気だった?」

「うん!良かった!無事だったんだね!?」

「うん。エレンとミカサも元気だよ!」

「本当?良かった…」

コウは胸を撫で下ろした。
アルミンは少し離れた所を指差し、ほら、と言った。
そこには2年前より背が少し伸びたエレンとミカサが立っていた。

「エレン!ミカサ!」

アルミンは手を振ってこちらに呼んだ。
エレンはアルミンの隣にいるのがコウだと気がついたのか、手を軽く振ってから駆け寄ってきた。

「コウだろ?久し振りだな!覚えてるか?」

「もちろん。エレンに、ミカサでしょ?」

「コウ、元気だった?」

「うん」

コウは頷いた。

1日だけ、たった一時間だけの友達だったのに四人はそれを懐かしんだ。
しかし、四人の出会いは楽しかった思い出と同時に辛い思い出も蘇ってくる。

恐らくコウだけでなく、3人もそうだったのだろう。
少し会話を交わしてから、下を向いた。


「入団式を開始する!104期生はただちに整列せよ!!」

その空気を破ったのは教官の大きな声であった。

「それじゃあ、また後でね」

コウは手を上げて、列へと走って行った。


「…コウ…なんか雰囲気変わったね」

アルミンの言葉にエレンは頷いた。

「いいとこのお嬢さんって感じだったのにな」

「…あの日を経験してるのだから。仕方ない」

ミカサの言葉に二人は黙って頷いた。
三人とも、コウ同様に少なからず何かが変わっているのだから。
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