long dream of 進撃の巨人

□845年シガンシナ区での出会い
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コウは新しいワンピースとジャケットを身に纏い、軽い足取りで階段を降りた。
それを見たコウの父親であるボリスは満面の笑みを浮かべた。

「お父さん!どう?似合う?」

「ああ!コウは天使のようだな」

そう言ってコウを抱き上げくるくると回った。
コウは白いスカートがフワフワと広がる様子を見ながら声を出して笑った。

「気をつけて行ってきてね。コウはお父さんの言うことをきちんと聞くのよ?」

「はーい!」

「あなたはコウを甘やかしすぎないのよ?」

「はーい」

ボリスはそう言って、コウの母親、エマが背を向けた途端に舌を出してコウと目を合わせてにっと笑った。
コウも両手を口に当ててクスクスと笑った。

今日はボリスが仕事でシガンシナ区へ向かう日だった。
コウはボリスにおねだりして、連れてってもらえることになったのだ。
本来ならば仕事に娘を連れて行くなどとんでもない話だったが、ボリスは憲兵団の師団長であり、誰も彼に批判は出来なかった。
それに、仕事とは言うものの、会議という名の接待旅行のようなものであった。

コウはボリスと共に迎えにきた馬車に乗り、エマに手を振った。
エマはそれを微笑んで見つめていた。

コウがシーナを出るのは産まれて初めてのことだった。
どんな世界が広がっているのか、ワクワクした顔で馬車からの景色を見つめていた。

シーナの壁門を抜けるだけで、コウは興奮した。

「お父さん!すごいね!ほら!おっきな門だね!!」

いつも見ている壁門が開いていくだけで、大騒ぎだった。

「そんなにはしゃいでるとローゼの壁を見る前に眠ってしまうよ」

ボリスはそう言ってコウを椅子に座らせた。
そして、馬車に揺られて数時間。
コウはボリスの膝に頭を乗せて眠っていた。

「だから言ったのに」

柔らかな髪を撫でてボリスは笑った。
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