dream of SD

□そのままの君が好き
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「三井さん、お兄さんが呼んでるよ」

香は教室の後ろのドアに視線を移すと、三井寿が不機嫌そうに手を挙げた。

「何」

「何じゃねえよ。かわいくねえな」

「かわいくなくて結構。で?何」

「今日部活、休みだからやるか?」

「え!いいの!?」

香は目をキラキラ輝かせた。

「ああ。放課後な」

「やった!」

香は三井の胸をぐーで軽くパンチして、自分の席へと戻っていった。
去っていく学ランを見て三井は小さくため息をついた。


放課後、香は一人体育館でボールを手にしていた。
軽く弾ませると誰もいない体育館に大きく音が響いた。

「…懐かしー…」

香はにっと笑って、ゴールに向かってドリブルを始めた。
そして、スリーのラインからボールを放った。

よし!

ゴールに吸い込まれていくボールを見て香は小さくガッツポーズをつくった。

「なんだ。久し振りだけどいけんじゃん」

香はそう言ってにっと笑った。
ボールを取り、今度は反対側に。
そう思ったとき。

体育館のドアの所で立っていた赤木がこちらを見ていた。

「……なに?」

香は嫌なところを見られたと、ぶっきらぼうに聞いた。

「…あ、いや。…上手いなと思って」

「…どーも」

香はぷいっと顔を逸らしてまたドリブルを始めた。
その流れるようなドリブルからのジャンプシュートに、赤木は目を奪われていた。


「…なんか用?」

「いや。自主練しにきたんだが」

「あんたバスケ部?」

「ああ。赤木だ。お前は?」

「……三井」

「三井?」

「そ、三井」

香はボールを赤木に投げた。

「バスケ部なら付き合ってよ」

そう言って笑うと赤木は鞄を下ろして、腰を低くし構える香に向かっていった。
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