dream of SD

□素直な気持ち
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全国大会に出場できなくて、花形くんは落ち込んでいた。
私も落ち込んでいた。
…というのは正直嘘だったりする。

本音は。

夏休み、やっとデートできる。

そんな浮かれた気持ち。
もちろん、そんなこと花形くんには言わないし、友達にだって言わない。
全国に行けなかったことはとても残念だし、私だって行って欲しかったと思っている。

それでも。

去年も、初めて付き合った年の夏も。
ずっとバスケの練習だ、試合だで。
全然デート出来なかった。
だから、今年は高校生活最後の夏休み。
思う存分デートできるっ!!
最高に嬉しかった。

なのに。


「…え?今から冬の選抜に向けての練習?」

「ああ。藤真がな、湘北に負けたなんてって…だから、明日から一週間合宿なんだ」

「…そ、そっか…」

「香?」

「あ、ううん、頑張ってね!冬で最後だもん、悔いのないように出来ることはやっておかないと!」

ガッツポーズを作って笑って見せると、花形くんはほっとしたような顔で微笑んだ。

その時。

ばちんと渇いた音が廊下に響いた。
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