dream of SD
□ふたりの夏
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うちのクラスの仙道くんは、バスケがすごく上手だそうだ。
女子にもモテる。
背も高いし顔もかなりのイケメンだ。
髪はつんつんしてるし。
勉強はできる方ではないけど、できないわけでもない。
趣味は釣りだそうだ。
こんな情報は陵南生なら誰でも知っている。
何故かはわからないが、いつのまにか知っている。
それくらい、有名人なのだ。
だけど、まさか。
その有名人に告白されるなんて。
思ってもみなかった。
「へ?」
「いや、だから、河嶋さんって付き合ってる人とかいる?」
「い…いません…けど…」
「本当?じゃあ、好きな人は?」
「特に…いません…が?」
「じゃあ俺、彼氏にしてくんない?」
放課後の教室。
週番の仕事をしていたら、仙道くんがやってきて上記のようなことを言ってきたのである。
日誌の上でペンを持つ手が震えていた。
「…えと…仙道くんとはあんまり話したことないし…」
「…あの…すぐには…ちょっと返事が…」
消えそうな声でなんとか答えようとするが、初めての告白。しかも有名人の仙道くんなのだから、動揺が半端ない。
「わかった。ゆっくり考えてみてよ」
仙道くんはにっこり笑って、教室を出ていった。