dream of SD
□ふたりの場所
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部活を引退してから俺はここに来るのが日課になった。
学校の図書室。
予備校に通ってない俺は、ここで受験勉強をしている。
家とは違って集中できるし、息抜きに部活を見に行けるし、あんまり人がいないから気が楽だし…。
と色々理由はあるけど。
一番の理由は。
「ここ、いい?」
「ああ」
向かいの椅子に座り、長い髪をひとつに結わく。
その動作をつい見つめてしまう。
「なに?」
「あ、いや。えと…き、今日は?数学?」
慌てて彼女が出した教科書に視線を移して誤魔化した。
「うん、ちょっと引っ掛かるとこあって」
彼女はそう言って、少しだけ舌を出して笑った。
これが俺がここに通い詰める最大の理由だったりする。