○第一篇
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どうみても女物だ。
それで前髪を上げる。
「・・・女装」
呟きに全員がこっちを向いた。
俺はドキリとして1人1人の顔を見る。
会長はにっこり笑うと頬杖をついた。
学祭の準備はスムーズに進んでいた。
今の所、生徒会にクレームは来ていないし、準備中の怪我の報告もない。
俺は6時限目のHRで教壇に上がったまま不動であった。
教室を見渡して息を吐く。
「だから嫌だっていってんだろ!!」
「お前しかいない!女子、スカート貸せ!」
「ふざけんな!誰がお前等にスカート貸すかよ!」
「吉沢のスカートなら大丈夫だろ!」
「てめぇ、あたしがデブだって言いたいのか!?あぁ!?」
「骨盤の問題だ!」
「だから嫌だってば!!」
どうしてこうなった。
時間を10分前に巻き戻すと生徒会で決まった「出し物」の話を始めたのだった。
生徒会の出し物は「偽ミスつるはし学園」に決まった。
俺の不適切な呟きによって決まってしまった。
まさかの全員一致とは。
ルールは1クラスに1人代表で女装が似合いそうな男子生徒を選出、計24人で1番を決める。
2日目の後夜祭でアンケートをとり、偽ミスつるはし学園を決めるというものである。
細かいことは会長が決めた。
俺のクラスでも1人を選出しなければならないのだが・・・。
「長田がいいと思う人ー!はい、挙手!」
全員一致の候補者の長田がぐずってなかなか決められずにいた。