─接触2

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俺が自席に向かうと八雲が後ろからついてきた。
潤の席に座って話す。

「俺にも告白来ないかなー。いつでも来ていいのにな」
「待ってるだけじゃ来ねぇよ、俺達凡人は」
「攻めろってことだな?肉食になれと」
「いんじゃねーの」

適当に答える。

ぶっちゃけお前の恋バナには興味がない。

おいおいすがりつく八雲を乱暴に対処しているとガラリと教室のドアが開く。

みんなが待っていた王子が帰ってきたのだ。
手には淡い桃色の手紙。

ラブレターか。

「宮日ー!」

さっさと俺から離れて八雲が呼ぶ。

潤は隣にいる俺の存在に気付くと爽やかな笑みを見せた。

「おはよう」
「・・・おはよ」

キザ野郎。
皮肉を零したくなるほど俺は今すこぶる機嫌が悪い。

八雲は俺の前に出て潤を独り占めするかのようにひそひそと話し始めた。
後ろの俺には内容は聞こえてくる。

「どうだったんだよ!先輩とは!」
「どうもこうも円滑に話は進んだけど・・・」

うわ。

鈍い奴め。
この馬鹿はそんなこと聞きたいんじゃねっての。

「まさか付き合うのか!」

勝手に興奮する八雲。

他人の恋愛に興味を持つ人間の気が知れない。

肩を揺すられる潤はちらりと俺を見る。

「何の話?生徒会に立候補しないかって言われただけなんだけど」

あの先輩は生徒会に所属していた。
廊下に貼り出される成績を知ってお声がかかったのか。

潤の言葉ははっきりとしていて様子見をしていたクラスメイトの耳にも届いた。
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