─接触1

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ころころ頭の色や服装が変わる人で目をチカチカさせていたが、金髪なら自分も真似出来る。

頭から羽とかはぶら下げられないけど。

校則には頭髪の規定はないし、茶髪にしている生徒もいるから問題はないだろう。

軽い気持ちであった。

「わ、宮日君すっごーい!」

教室に入るなり女子の一言で一斉に視線が集まった。

今まで俺になんか興味も持っていなかったと言うのに。

ひそひそ声が集まって教室がざわめく。

何だよ。
茶髪はいいけど、金髪は駄目だってか。

内心不機嫌になりつつ席に着いた。

その日から俺の生活は変わった。
ずっと話してみたかったとか、友達になって欲しいとかわざわざ言われるようになった。

最初の内は喜んで頷いていたが彼女達の目の奥に滲む欲の光に気付いた。

気持ち悪い。

遠回しに言わないで素直に好意を口に出せばいいのに。

そうしたら潔く断るよ。

拒絶の壁を作った。
話しかけないでくれというオーラをまとった。

どうも俺はオブラートに包まれるよりもはっきりと言ってくれた方が好意を持つらしい。

それはクラス替えをしてある人物の隣になってから分かった。
どうしてあんなに周りとの接触を嫌がったのか。

「悪い、名前覚えてねぇや。何だっけ」

彼との初めての会話だった。

突然授業中に話しかけられて反応が遅れる。
あからさまに俺を見ているのに誰に話しかけたのだろうと迷った。

目を泳がせる俺に彼は指で示してきた。

「お前だよ。金髪のお前」
「あ、俺」

彼はふき出して、授業中だと思い出すと口を押さえた。
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