─接触1

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八雲はつまらなさそうに口を尖らせた。

「お前等本当に仲良いのかよ。全然宮日のこと知らねぇじゃんか」
「じゃぁな」
「聞けよ!」

ドアを閉める。

俺だって分からない。

本当に仲が良いのか。

潤と友達なのか。

昨日俺達はいけない一線を越えてしまった。

胸の隙間を埋めるようにして潤に体を許した。

冷静に考えれば異常なことで、大胆だった自分を半ば信じられない。

腕に残る赤い痕に目をやる。

でもそれは真実で後には戻れないことであった。

足にもロープの痕が残っている。

キスマークが鎖骨から下に散りばめられていたのは周りの目を気にする俺への配慮か。

意識を取り戻した俺は服を着せられ、潤のベッドで寝ていた。

その横で寝息を立てていた彼。
ぴっとりと俺にくっついていた。

どうするべきかではなくどうしたいのかを考え、朝まで眠ることを優先にした為、朝は潤と一緒に登校した。

昨日のことについて何も言わずににじうさの話を振っていた彼。

「うぜ」

呟くと早歩きで学校から出た。

家までの道を歩く。
学校から近いと自転車を用意するのも面倒で歩いて登校している。

しばらく自転車に乗っていない。

歳をとってからでも自転車の乗り方を忘れないのが学習のすごい所である。

いつものコンビニに寄った。

今日の晩飯は何にしようかな。

手作りのおにぎりコーナーに行く。
棚の向こうは小さな厨房になっていて作っている所が見える。

覗いたことなんかないけど。

機械を使わずに丸められたおにぎりは絶妙な塩加減で美味い。
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