─接触1

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潤は首輪のリングを指に引っ掛けて顔を近付けさせた。

軽く唇同士を重ね合わせて、離す。

睨みを利かせて無言の俺に彼は不満そうに口を尖らせた。

「頑固なんだね。詰まらない」

毎日努力を続けている。

潤の犬になって何日も経っているが激しいスキンシップにはまだ慣れない。
だが口を返すことは我慢出来るようになった。

「口開けて」

舌打ちをすると潤は微笑んだ。

「素直じゃないんだから」

啄むようにキスをされて目をつぶった。

下唇を舐められて体に力がこもる。

ここが学校の廊下であることを2人共忘れてしまいそうになった。

誰にも見られることなくキスを終える。
不幸中の幸いか。

この時間帯は部活動の生徒以外は学校に残っていない。

だからゆっくり話せると思っていた。
なのに、またこうして友人以上のスキンシップで思考能力を低下させてしまう。

「朔馬からしたら嫌がらせだよね」
「・・・」
「でもどうせやるならお互いが気持ち良い方がいいでしょ?」

他にやり方はないのか。

今口を開いてしまえばこいつを満足させてしまう。

俺は俯いたまま無言。

そんな俺に構わずに潤は話を続ける。

「明日の12時に駅前の公園に集合だよ」
「・・・めんどくせ」
「ちゃんと隠れて来るんだよ?」
「はいはい」

言い返せないのってつらい。
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