→素直
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最初気になっていたが、拓が輝くような笑顔を向けて喋るのでいつの間にか気にならなくなっていた。
細い指が俺の指に絡まっている。
それがきゅっと握ってきて可愛らしかった。
電車を乗り継ぎ過疎地へ。
この町にあまりにも人がやって来ないので大きな遊園地を作った。
すると人が次々と観光に来て交通の便もよくなっていった。
直結のバスまで出たくらいだ。
この遊園地のお化け屋敷が有名で、恋人の手を最後まで繋がなかったら幸せになれるという意味の分からないジンクスまである。
2人分のチケットを購入して門をくぐった。
子ども連れが多い。
アトラクションからは悲鳴が聞こえてくる。
拓はぴょんぴょんジャンプしながら観覧車を指差した。
「あれ!あれっ!」
「観覧車は最後にしようよ」
「あっちのコーヒーカップ!」
手を引っ張って引きずられていった。
予想はしていたが、予想以上に振り回された。
絶叫系が好みらしく、連続でジェットコースターに乗った。
子ども用のなだらかなものも。
多分誰よりも大きな歓声を上げてジェットコースターを楽しんでいた。
横で聞いていて鼓膜が破れるくらいだ。
「もう1回乗りたい!」
拓は1本指を立てる。
俺は吐き気を堪えてベンチに座った。
「ごめん、1人で行って・・・うっぷ」
「ん〜・・・行ってくる」
さすがに5回は無理。
目がナルトになってる。
拓は口を尖らせて1人で並びに行った。
しばらくすると気持ちのよさそうな悲鳴が上から下に流れていった。
「楽しかったー!」
拓は満足そうにジュースを飲む。
案外1人でも楽しんでいた。
「圭ちゃん大丈夫?具合悪い?」
「大丈夫だよ」