→素直

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「応援してあげたいのは山々なんだけど、いざお前が傷つくの見たくないんだよ」

唇を噛む。

だって好きなんだもん。

今でも好きで仕方ないんだ。

期限がない日常にいつ彼が帰ってくるのか不安であれから安心して眠れたことはない。

拓海がいなくなって半年が経った。

病院も手こずっているみたいだ。

俺は拳を握って桜を見上げる。

「それでも拓海を待っていたい。拓海の左横は俺の場所なんだ」
「お前も相当な頑固だよね」
「うん。ごめん中尾」
「何で謝るのさ。悪いことしてるとでも思ってるの?」
「ううん、全然」

中尾は笑う。

「お前はこの半年で随分変わったよ。梅田が見たらびっくりするんじゃない?」
「自覚はないんだけど」
「ちょっとワルになった」
「何それ」

バイトを始めたり、学校主催のボランティアに参加したり、今までとは違う生活を送ってきた。

中尾率いる生徒会との屋上掃除の目標も達成。

これだけ積極的に参加していたら受験に有利かもしれない。

拓海の分まで充実した高校生活を送ろうとしてきた。

「今日はもう帰るね」
「バイト?」
「用事があるんだ」

中尾と別れて下校した。

今日は拓海の母親に呼ばれていた。

2度の拓の暴走でおばさんは疲れ切っていた。

今回は家から通っている。
あれだけ大きな音を立てていたので誤魔化せず、全てを俺の母に打ち明けていた。
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