→素直

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「彼氏いるお前に言われたくないね。まぁ正直俺より数倍平凡だけど」
「・・・その彼氏なんだけどさぁ」

はぁーと深く息を吐いた。

「病気でさ」
「梅田が病気?不治の病か何か?」

冗談めかして中尾が言う。

まだ俺の悩みを小さなことだと思っているらしい。

俺は机に突っ伏した。

「病気って言うか・・・」
「何だよ、勿体ぶらないで言いなよ」

ここまできてまだ迷ってる。

でも拓海を取り戻す為。

意を決して中尾を見る。

「実は二重人格なんだ、拓海」

言った!

中尾は固まったまま俺を見る。
状況が把握出来ていないみたいだった。

「へぇ」

きっと彼のことだからこの短時間で思い当たる節を見つけたのだろう。

流石と言うべきか。

「驚かない?」
「驚いたけど、ここ数週間の梅田はまるで別人みたいだし、納得はいくよね」
「だよね・・・」

まるでわざとそうしているみたい。

今までの俺は忘れてくれ。

拓にそう無言で言われているせいで周りは拓海を忘れていく。

本気で戻らない体勢に入った。

「いつから?」
「中学の時からちょくちょく人格は入れ替わってたみたいなんだけど、2週間くらい前から拓海が戻らない」
「2週間前って泊まった時もかよ」
「うん」

中尾は頭を抱える。
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