→素直

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中尾は俺の背中を押して更に距離を縮めさせた。

拓が手を伸ばして腕に絡みついてくる。

「驚いただろー」

中尾は俺の表情を見て満足そうで、また誇らし気でもあった。
してやった、みたいな顔だ。

「驚いたけど・・・何で・・・」

何故拓が中尾と計画を?
拓は中尾を嫌っていたはずだ。

「中尾にお願いしてついてきたんだよ」
「圭助、お前プール行く約束守ってないんだってな」

しかもこんなに仲よさ気で何を考えているのだ。

怪しいものを見るように拓に目を向ける。

拓は口の端を上げて俺の手を握った。
目が笑っていない。
作り笑いだとすぐに分かった。

・・・相当怒っている。

中尾との泊まりを反対していた拓には何か計画があるに違いない。

でなければこんなメンツでいるわけない。

「バス来たよ」

中尾が指を差す。

「海、楽しみだね」

拓は喜びの声を上げて頭を傾けた。



バスを乗り継いで1時間半。
俺達は目的地に到着した。

海には人気があまりなく、貸切のようである。
海の家を覗いてみたが客はいず。

来た日が夏休みをとっくに過ぎていたからだろう。

サーフィンを楽しむ大人がちらほらと見えた。

早速水着に着替えて中尾は海に飛び込んだ。
水しぶきが頭からかかる。
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