←ツンデレ

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本当に馬鹿みたいに心が広いんだから。
半ば呆れてしまう。

圭助はマフラーを巻き直しながら訊いてきた。

「拓海は何処受けるの?」

どきりとした。

俺も北を受けると聞いたらどう思うだろう。
偶然だと思うだろうか。

狭い空間、黙っているわけにもいかないので答えた。

「北」

自分でも驚くほどのぶっきらぼうさに泣きそうになった。
こんな冷たく答えるつもりなんかなかったのに。

構わずに圭助は自分を指差す。

「じゃぁ俺と一緒か。また3年間一緒になれたらいいね」

偶然だと思ってくれたらしい。

安心と共に何処かさみしかった。

「別に・・・俺と3年もいなくたっていいだろ・・・」
「いつからそんなにひねくれ者になったの」

思ってもいないことが口から出てくる。

圭助は笑いながら人差し指で俺の頭をつついた。

数年ぶりかに触れられて胸が高鳴った。

じわじわと頭皮が疼く。

すると今度はじっと俺を見据えてきた。

そっぽを向いて気付かないふりをしていたが長時間見られて限界であった。

「何だよ・・・」

何か用事があるなら言ってくれてもいいのに。

圭助は首を振って真剣な眼差しで呟くように言う。

「一段と拓海が可愛くなったなって思っただけだよ」

口説かれた。

ぼっと顔が熱くなった。

赤くなった顔を見られないように伏せる。

心の準備もなしにふざけるのは大概にして欲しい。
人の気も知らないで・・・

圭助の鈍感さが恨めしくなってくる。
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