→鈍感
□→
2ページ/17ページ
「はぐれちゃって」
「そう・・・なんですか」
実咲さんを案内出来る時間があるなら俺と一緒にいられたよね・・・?
左胸が痛む。
くだらない嫉妬心。
実咲さんは後ろで手を組んだ。
「よかったら一緒に捜してくれないかな?あ、忙しいか。折角の学祭だもんね」
慌てて手を振る。
「じゃぁもうちょっと頑張ってみるね。ありがとう」
屈託のない笑みを見せて彼女は立ち去ろうとした。
思わず俺は細い腕を掴んだ。
急に引っ張られて実咲さんは振り返る。
捕まえてしまったけど・・・どうしよう!
後先考えずに突っ走る所がある。
これは母親似だ。
「捜しましょう!」
我ながらいい子だと思う。
まず拓海の教室に向かった。
誰も拓海が何処にいるのか知らず、クラスメイトに聞き込みをしたが目撃情報なし。
ケータイを使えばいいことに気付いたが実咲さんがケータイを忘れてしまったらしい。
俺は昼食を摂っていなかったので焼き鳥を頼んで体育館に設置されていた椅子に座った。
机を挟んで向かえに実咲さんが座る。
彼女も昼食前に拓海とはぐれてしまったのでお腹が空いていたという。
焼き鳥の他に豚串とフライドポテトを頼んでいた。
「学祭って何だがお金遣っちゃうのよね」
実咲さんは熱々の鳥串を口に入れて足をばたつかせる。
この人は一体幾つなのだろう。
年上なのは分かるが高校生ではない。
大学生?