→鈍感

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クラス内は本を読んでいるか、勉強をしているかが大半を占めている。

後は俺達みたいにひたすら話し続けるか。

「じゃぁお前が頑張ったらケーキバイキング連れてってあげるよ」

俺は中尾の天使の言葉にボールから手を滑らせた。
転がって体育館の壁にぶつかる。

「ほんと!?」
「俺が嘘吐いたことある?」
「ないない」

天使だ。

「も、もちろん奢り・・・?」
「仕方あるまい」
「やったぁ!中尾大好き!」
「うぇえ気持ち悪い」

ふざけて抱きつこうとしたが中尾に体を押されて床に転がった。

これはもう頑張るしかない。

「リストバンドあげた?」
「駄目だよ、当日じゃないと」
「受け取ってもらえなかったらどうしよー」

向こうでバレーをして遊んでいた女子達が声を上げて笑い出した。

「中尾ー、リストバンドって?」

中尾はすぐに分かったのか女子の塊を見た。

「ちょっとした噂だよ。リストバンドを球技大会の終わりに好きな奴にあげて受け取ってもらえたらハッピーエンド」
「何それ」
「乙女チックだよねー。渡された方が困るわな」

相手のリストバンドなんかどうしろと言うのだ。

運動をしていない人からしたら去年のリストバンドは触らずに放置されている。
捨てた人もいるんじゃないかな。

「圭助はどう思う?」
「うーん、そういう方法に頼るしかないならいいんじゃない?」

リストバンドを受け取ってもらえたらハッピーエンドか。

そんなファンタジーな噂に頼るのもいいかもしれない。

女子の噂好きには勝てないな。



人使いが荒い母に買い物を頼まれて近くのスーパーまで行ってきた。

今晩のメインはハンバーグ。

挽き肉をエコバックに入れて帰宅した。

梅田家の玄関掃除をしているあれは拓海かな。
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