△第三篇

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どうしても行きたいんだろうな。

断る理由もないし、と頬を赤らめる円の髪をすいた。

円は気持ちよさそうに笑みを浮かべる。

猫みたい。

「じゃぁ行きますか。ショッピングモール」

円は大きく頷いた。



マンションから徒歩10分くらいの所にバス停があった。

学校帰りの高校生が利用するような所だ。

休日ということもあってバス内もモール内も混んでいた。

円はきょろきょろしながら俺の後ろをついて来る。

側の店に立ち寄りたい衝動を抑えて人混みに体を持って行かれないようにと俺から離れようとしなかった。

俺は立ち止まる。

よそ見をしていた円は激しく背中に顔面を打ちつけた。

「あいたっ・・・!急に何―」
「ん」

手を差し出す。

祭の時みたいにしていればはぐれないと考えたのだ。

しかし円は周りの目を気にしているようで迷っていた。
やんわりと握った拳を胸の位置に挙げたまま。

その手を強引に捕まえて横に並ばせた。

「なっ、まっ、で、でも・・・!」
「言葉おかしいよ」

円は顔を真っ赤にして俯く。

「だってみんな見るもん・・・」

祭は別ってか。

「見たらいけないの?」
「カップル同士が手繋いでても見るのに男同士だったら更に見られるよ」
「もしかしたら円を女の子だと思うかもよ」
「えぇ!?やだぁ!!」

ムスッとして俺の手を握る。
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