△第三篇

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円はお茶をすすって短く息を吐いた。

「何でそんな格好してるの?」

円ははっとなってスカートの裾を引っ張る。

「こ、これは、その・・・」

きつく拳を握り締める。

説明出来ない理由があるらしい。

「ここに来たからには言って。理由も聞かずにここに置いておくわけにはいかない」

内心冷や冷やしていた。

本当に変なバイトをしているんじゃないかと考えてしまう。

円はしばらくもじもじと指を動かしながら呟くように言った。

「はる兄が・・・」

あの馬鹿兄貴が弟相手に馬鹿なことを。

呆れてものも言えない。

「はる兄に言われたことやってお金貰ってたの・・・」

それが言えなかった理由か。

俺は息を吐いて壁に寄りかかる。

変なバイトをしてなくてよかった。
安心した。

でも

「円にこんな格好させてるのはおかしいよ」
「・・・似合わない・・・?」
「そうじゃなくて」

似合うけども。

「スカート履かせてどうしたいの?女装趣味なわけ?」
「分かんない・・・」

何なんだ。

人の趣味にとやかく言わないが円をターゲットにするなんて許せない。

「円はそれを受け入れたの」
「あのね、ちゃんとしたバイト見つけたの。だからはる兄に言ったら着ろって・・・怖かったの」

家庭内暴力だ。

アメリカのケイトにしても家の中が複雑過ぎる。
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