■第二篇

□□
2ページ/18ページ

「ますみ君は見かけに寄らずお堅いのね。もしかして勃てないの?」

女の嫌味なんか知るか。
俺は寝たふりをしたままにしておいた。

こいつの言う通り俺のモノは役立たずだ。

昔のトラウマから機能しなくなってしまったのだ。

中学の夏だった。
女の先輩達に囲まれてあれこれと暴言を吐かれながらイジメられた。

それが頭から離れなくていつまで経っても反応してくれない。

誰にも言ったことがない。
言えるわけない。
言ってどうする。

俺はこのままでもいいと思ってる。
どうせ誰かを好きになったりしないし、打ち明けられる信頼出来る人なんか出来たりしない。

作ろうとなんかしない自分がいる。

最後に人を好きになったのは中学生以来だ。

手紙を渡したが見事に撃沈。
確かその直後に先輩達からいじられた。

だから女の家に泊まっても何もしようとは思わない。
後々面倒だし。

俺を泊めてくれる女なんか俺に何かを期待している。
大体が彼氏持ち。

彼氏以外の男と抱き合うことはスリル感がいっぱいで楽しいのだろうか。

どうせ最後は男のせいにされるんだ。



女が起きる前に家を出る。

それが俺の決めごとだった。

朝から甘ったれた口調を聞くのが嫌だからだ。
特に大した理由なんかない。

今日も家に帰る予定がなかったのでゲームセンターをふらふらしてみた。

新しいゲームが入ったみたいで大勢が群がっている。

俺は昔から画面つきゲームには興味がなかった。

賭け事で麻雀やトランプなんかやるが今流行のものは全くの無能だ。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ