■第二篇

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「山田がいないってことは3人で修学旅行だ。人数減ってよかったな!」
「それは流石に失礼だよ・・・」
「大人数の方が楽しそうだったのになぁ」

佐伯君は立ち上がる。
それに釣られて立ち上がった。

「俺だけ悪者みたいじゃないか」
「今の状況だと陽介しか悪者じゃないよ」

そういえばこの2人、普段は全く喋らないのに修学旅行の話し合いの時だけよく話す。

よく聞けば名前で呼び合っているし。

旅行の間で2人のことたくさん知れたらいいんだけどな。



「10月なんて早過ぎるって思ってたけどこんなに早いものだとは思わなかった」

佐伯君はキャリーバックの上に座る。
ガタイのいい彼が乗っても丈夫なバックだ。

俺は初めての旅客機に体が震えていた。

家の小さな飛行機には乗ったことがあるけど、それは随分昔の話だし、宮野がいたし・・・。

というか宮野が運転していたし。

昨日まで宮野と楽しみにしていた修学旅行。

でも今の俺の感情はただ1つ。

恐怖!!

「あぁ怖いぃ・・・」

俺は長谷川君にすがりつくようにして近付いた。

長谷川君は肩にかけてあった荷物を床に置いて微笑む。

「山神、飛行機初めて?実は僕も乗ったことないんだ」
「・・・長谷川君も?」
「僕も緊張してて」

何だか意外だ。
彼なら何でも知っているように思っていたからだ。

緊張しているように見えない。

「長谷川君ですら乗ったことないもので俺の人生終わるかもしれない・・・」
「そんな大袈裟な」

長谷川君は違うグループの女子と話す佐伯君を見る。

佐伯君は誰にでも話しかける人だ。

俺みたいに今まで話したことのない人にも平気で話しかけてくる人だ。
友達は多い。

「陽介みたいな何も怖くなさそうなの見てたら勇気湧いてこない?」
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