■第二篇

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駆け寄る。

嬉しいよりも驚きの方が勝っている。

恭平は両手を広げて俺をぎゅっと抱きしめた。

「お前こんなとこで何してんだよ・・・!」
「直ちゃんに会いに来たんだよー」
「またお前はそんなこと―・・・」
「って言うのは嘘ね。夏休み中に帰省するつもりだったんだけど、夏休みが楽し過ぎて帰って来れなかったの」

恭平は頭を掻く。
友達の多い彼のことだから遊びまくっていたのか。

「だから学校始まってから来ちゃいましたの巻ー」

デジャブだ。

のんびりな所は全く変わっていない。
まぁそこが恭平のいい所なんだけど。

「一応直ちゃんに電話しておいたんだけど」
「あぁ、ごめん。かけ直すの忘れてたんだ」

恭平からの電話はこれが用事だったのか。

恭平は俺を解放して向き直る。

「久しぶり、直ちゃん。3か月ぶりってとこかな?」
「もうそんなに経ったんだな」
「まだ帰って来ないの?」

来て早々そんな話をしなくても。

俺は首を振る。

恭平はにっこり笑うと頷いた。

「じゃぁそんな自分に厳しい直ちゃんにお土産ね」

と、俺の両手首を掴むと唇の横ぎりぎりに口付けをしてきた。

恭平は笑った顔のまま口を離す。

一体何が起きたんだと硬直。
慌てて恭平の手を振り解いた。

「何してんだよ」
「ふふふー」

笑顔を崩さない。
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