■第二篇
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まず、この甘いもの達をどう隠そうか。
彼女からは放課後に貰えた。
廊下で友人達を待たせて教室で渡された。
これだけ貰えたのに1つも被っていないのが凄い所だ。
「手作りにしようと思ったんだけど・・・何だか直樹に負けそうで」
「そんなことないのに」
「またまたぁ」
彼女はマフラーに顔を埋めて笑う。
「じゃぁ、帰るね」
「うん。気を付けて」
彼女は教室を出て行く。
廊下では騒ぐ友人の声。
俺は彼女と一緒に帰ったことがない。
家が反対方向だからだ。
生徒会室に行こうかな。
でも鞄が重い。
やっぱり家に帰ろうか。
「・・・・・・・・・あのさ」
後ろのドアに目を向ける。
ドアに隠れている人物がびくりと肩を動かしたのをドア窓から見た。
俺は近付いてドアを開ける。
はっとしたままそいつは俺を見上げる。
「さっきから何してるの?円」
円は顔を赤くして口をぱくぱく魚のように動かす。
「な、っ何もしてない!!」
「さっきからこそこそしてるでしょうに」
朝から円がこそこそと俺のことを見ていたのには気付いていた。
本人は隠れているつもりなのだろうが、バレバレであった。