■第二篇

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彼は時々意味深なことを言う。

心の奥底で思っている気持ちの表れなのか。

と、ケリーが立ち止まる。

ケリーの2歩後で俺達も立ち止まった。

目の前に大きな建物が。
黒い鉄柵の門がある映画の魔法学校を思い起こさせる。

「ここが僕と兄が通っている大学だよ」

クリスが迷子になりそうと言うわけが分かる。
視界の中に収まりきらない大きさで、広さなのだ。

ケリーは変な汗を掻きながら横目で弟を見る。
逃げるタイミングを見計らっているようなずるい目に見えた。

「ここまででいいでしょ?」

クリスはケリーの腕を掴んだ。

ケリーはその手を振り解いて立ち尽くす。

それを気怠そうに見て、クリスはその場を立ち去ろうと俺の手を引いた。

靴のかかとがアスファルトに擦れて俺の足がもつれる。

「え、いいの?」
「僕は兄を学校まで連れて行くだけ。後は自分でしょ?」

クリスの歩く震動のせいか、ゲルが頷いたように見えた。

「それよりも僕は君といたいな」

クリスは立ち止まると振り向いて俺の顔を覗き込んだ。

「街、案内するよ」



大通には車が溢れていた。

朝なのに人混みが複雑に入り組んでいて流されそうになる。

この時期は学校の休みが被っていて学生の姿が多かった。

ゲルを肩から落とさないようにとクリスは人通りの少ない裏道を教えてくれた。
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