■第二篇
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俺よりも年上のはずなのに何処か雰囲気が子どもっぽい。
落ち着きがないというか。
情報に寄れば24歳だとか。
初対面の相手に対してこんな印象を持ってはいけないが、抜けている感じがする。
「藤森 直樹です。日本の高校生です。早くこの場所に慣れれたらいいなと思っています。これから1年間よろしくお願いいたします」
3人が拍手。
「どうしてこっちに?」
ジョンがクッキーの箱を開ける。
甘い香りが一気に広がる。
「将来こっちで仕事をしたいと思っていて。経験があれば有利かなと」
「将来のことをよく考えているんだね。私なんか君の歳の頃は彼女とばかり遊んでいたものだよ」
ジョンは軽快に笑う。
「直樹、君にはガールフレンドがいないのかい?」
その話にマリーも耳を傾ける。
「いるにはいますけど・・・」
何故そんなこと訊くのだと困る。
「あら、どんな子?」
どんな子と言われても。
「犬みたいな人です」
「人懐っこいって意味かね」
「じゃぁ私みたいじゃないの〜!」
マリーは冗談をふきながら夫の肩を叩いた。
「本当は猫派なんですけど」
「残念ながらウィリアム家には犬しかいないわ」
マリーは紅茶の香りを楽しんでからカップに口をつけた。
カップは5つ。
犬が飲むわけないし、あと1つは誰のものなのか。
一口飲む。
アップルティーであった。
普段紅茶を口にしない俺にとってただ苦いだけであった。
アメリカにも緑茶ってあるのかな。