○第一篇

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「では生徒会の出し物についてになりますが」

1年生書記が黒板に書き始める。

眼鏡の役員が手を挙げる。
彼は生徒会内では発言力がある方だ。

こういう人に限ってクラスでは全く発言しない。

「毎年同じようなことをしているような気がします。なので今年こそは違うことに挑戦するのもいいかと」
「じゃぁ何をするの?」

すぐに反論する同学年の女子生徒。

「去年もそういうこと言ってて結局ステージとかいう演劇部と被るような出し物をしましたよね」
「去年はいい案が出なかっただけじゃないですか」
「じゃぁ何かあります?」

どうしてそう喧嘩腰なのか。
この女子生徒はいつもこうだ。

2人の言い合いに生徒会長が止めにかかった。

「やめないか。みっともない」

2人は気まずそうに会長を見て口を閉ざした。

会長は机に肘を置く。

「俺のダチの生徒会はなかなか面白いことをするそうだぞ。毎年想像もしていなかったことをするらしい。例えば―」

と、手の平を見せる。

「去年は手に絵の具をつけてでっかい作品をリアルタイムで作ったらしい。創作時間は1時間半。見たい奴は見て、見たくない奴は他を回るっていうことだったみたいだ」

それは確かに予想出来ないことだ。

「その学校の美術部がすごい腕揃いらしくてな、かなり素晴らしい作品が出来たそうだぞ」

うーんと役員達は頭を抱える。

アイデアを出した会長は考える素振を見せずに欠伸を洩らす。

前髪が邪魔だったのかYシャツのポケットからピンク色のピン留を抜き取った。
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