○第一篇
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俺の隣にはいつも誰かがいた。
気付けばロングヘアーの子。
気付けばショートカットの子。
気付けば年上の人。
気付けば後輩の子。
いつ別れを告げていたのか分からない。
けれどいつの間にか隣にいる人は変わっていた。
「藤森、山神見なかったか?」
俺は渡り廊下の真ん中で足を止めた。
振り返ると困ったような顔をした先生が背後に立っていた。
隣のクラスの担任が俺に何の用があるのか。
俺は首を傾げる。
「山神君ですか?」
「学校には来てるんだが授業に出てないんだよ。一体何処にいるんだか・・・」
ふっと息を吐いて担任は辺りを見渡す。
「鞄はあったんですか?」
「外靴があったんだよ」
「外靴があるんなら校舎にいるんじゃ」
「いないんだよ〜。まぁ、山神のことだから上手く隠れられそうだけどな」
担任は笑う。
「この後用事ないんで、資料置いたら捜してみますよ」
「そりゃ助かる!頼んだぞ!」
俺は両腕に抱えた資料を物理室に運んだ。
明日の自習で使うみたいだ。
まぁ物理を選択していない俺には関係のないことなんだけど。