─接触2

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「八木ー、八木は欠席か」

担任が出席簿に日にちを書き込んだ。

「八雲ー」

入学して初めての欠席だった。



目を覚ます。
畳のにおいがする。

布団から起き上がって時計を見る。

登校時間をとっくに過ぎて昼飯の時間になっていた。

体がだるい。

学校に行かないのを注意する人間もいなく、こんな時間まで寝過ごしてしまった。

顔を洗うと居間に行ってテレビを点けた。
昼のニュースを眺めてすぐに消す。

冷蔵庫から牛乳を出してパックに口をつけて飲んだ。



「子どもが出来たの」

言葉を失った。

郁美は腹をさすりながら不適な笑みを浮かべた。

鵜呑みに出来なくて疑問を繰り返す。

「何・・・は?」
「妊娠したのよ」
「妊、娠・・・」

ショックを隠しきれなかった。

そんなの、聞き入れられない。

俺は被害者で、望んでなんかいなかったのに、子を孕んだと更に追い詰められるのか。

「朔馬の子だよ。私他の人と寝てないもん」
「・・・っは、何だよ。俺と結婚する気か」
「でもまだ18歳じゃないでしょ?」

終わった。

俺の人生はピリオドが打たれた。

責任を負って、全てをこのストーカーに捧げなければならないのか。

郁美は俺の腰に手を回して腹をくっつけてきた。

触らないでくれ。
口を噤んで足元を見る。

「これで私達はずっと一緒だね」
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