─接触2

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教室のドアを開けると一斉にこっちを見るクラスメイト。
そしてすぐに落胆の表情を浮かべて話に花を咲かせた。

歓迎して欲しいわけではないが何となく腹立つ。

「何なんだよ」

俺は側にあった八雲の机を蹴飛ばした。
八雲は苦笑を浮かべて机の位置を戻す。

席替えで彼はドアのすぐ近く、1番前の席になってしまった。

先生に当てられる率は高く、夏場は涼しくていいが冬は隙間風で寒い思いをするだろう。

「このタイミングで入ってきたお前が悪い」
「じゃぁ何処から入れってんだよ」
「怖い顔すんなよ」

俺は最近神経をすり減らして生活していた。
だからちょっとのことでも機嫌が悪くなる。

毎日のように放課後の学校に郁美が現れ、今度は校舎内に隠れることにした。
さすがに立ち入ることはしなかった。

あのまま家を知られるようなことがあれば―

家を知っている知人には個人情報は絶対に漏らすなと釘を刺しておいた。

「今宮日が先輩に呼び出しくらったんだよ」
「あいつが?またかよ」

夏休みが明けてから潤へのラブコールは再開した。

「いつものことじゃねぇか。何で結果待ちなんかしてんだよ」
「相手がほら、ハーフのあの先輩なんだよ」

先輩にイギリスと日本のハーフの女がいたのを覚えいる。
日本育ちで英語は話せない。

外見が外見なので何処にいても目立ってはいた。

「ハーフだから何だよ」
「あの2人は幾つもの告白をなぎ払ってきたじゃないか。付き合うことになったりしたら絵になるぞ」
「まさか」

鼻で笑う。
それを見て八雲は俺を指さす。

「宮日を見くびるなよ?お前だっていつか宮日に捨てられるかもしれないんだからな」
「俺に問題でも」
「今日はすこぶる機嫌悪りぃな」

だって面白くない。
あいつが他の女と付き合う所を想像出来てしまうのが。

「それにしても宮日の奴夏休み明けてからまた呼び出し多くなってきたよなー」
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