─接触1

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午前11時過ぎ。
郁美を迎えに行く。

郁美は白いミニスカートに水色のTシャツとラフな格好であった。
25歳にしては見た目はまだ若い。

ファミレス内はがらんとしていた。
平日だからだろうか。

好きな所にどうぞと言われて窓際の端のテーブルを選んだ。

メニュー表を見ながら郁美はにこにこしていた。

「メロンフロートも頼んじゃおうかなー」
「そんなに食えるの?」
「私大食いなんだよね。・・・大食いの人って嫌?」

いちいち俺の好みを訊く。

「そういう意味で言ったんじゃねぇよ」
「なら良かった」

郁美はハンバーグとサラダとメロンフロートを頼んだ。
俺はピラフとオレンジジュースを頼んだ。

「少なくない?成長期なんだからもっと食べなきゃ」
「そんなに食べれないから」
「少食なんだね。だから細いんだ」

食費を考えてコンビニの弁当やおにぎりで済ませていたら胃がそれ以上を受け付けなくなった。

食事がテーブルに運ばれてくると郁美は手を合わせていただきますをした。

元気のいい奴。
いつもこんなに明るいのだろうか。

フロートのアイスが溶ける前にスプーンですくい上げた。

「ちっちゃい時はよくメロンフロート食べてたなぁ」

懐かしむように緑色のグラスを見つめる。

「お母さんが乱暴者でさ、喧嘩した後にお父さんがレストラン連れて行ってくれてメロンフロート食べさせてくれた」
「お父さんっ子なんだ」
「うん」

こっちの家庭では父親が乱暴者、そっちの家庭では母親が乱暴者。

俺の場合はレストランに連れて行ってくれるような人はいなかったけど。

「でも私が高校生の時にお父さんが死んじゃって。交通事故だったの」

店内に人が増えてきた。
学生の姿はない。

「それからお母さんと上手くいかなくなっちゃって恋人と家を出たんだ」
「学校は?」
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