─接触1

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グラウンドを走る小さな人。
虫みたい。

俺は外から目線を外して教壇の上で担任と話す潤に目をやった。

彼を見ている目は俺だけではない。

そこらの女も、八雲も。

そっと息を吐いて再び窓の外を見た。

明日から夏休み。
宿題を大量に出されてまだ始まってもいないのに嫌な感じ。

「お待たせ」

潤がプリントの束を抱えて戻ってきた。

元はと言えば窓際の彼の席を譲る。

「じじぃなんだって?」
「数式が違ってたみたい。また最初からやり直しだよ」

潤は担任に自主的に添削をしてもらっている。

将来が心配だとかで今から頑張るんだと。
専務である親のように有望だ。

「早く行かねぇと前側取れなくなっちまうだろ」
「ごめん、今しまうから」

潤は慌ててプリントをファイルに突っ込んだ。

今日はにじうさの地下ライブの日。
何日も前から行く約束をしていて、念願のライブ当日。

ライブハウスで行われる小規模ライブの為、早く行かなければ後ろ側で見ることになってしまう。

学校から真っ直ぐライブハウスに向かった。

すっかり慣れてしまった首輪をしてキーさんを迎える。

足取りは軽やかで階段の最後の段はジャンプをして着地した。

それを見て潤が笑う。

「本当に好きなんだね、レインボーラビット」
「にじうさの為なら命かけてもいいね」

あんなにいい曲を作るのに一般人にはウケない。
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