─接触1

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ぬるぬるする。

指を開くと透明な液体が糸を引いた。

郁美は息を乱して俺の頭を抱き締めた。
顔中にキスをされる。

「朔馬・・・」
「・・・」

物欲しそうに体を擦り寄せてくる。

俺はまたがる郁美を押して立ち上がった。
玄関に向かう。

郁美は俺を追いかけてきた。

「待ってよ朔馬!」
「何だよ」

手首を掴まれる。

指にはまだ郁美の体液が付着していた。

「いつまで焦らすの・・・?いつセックスしてくれるの?」

我が物顔で俺を責める。

「指ばっかじゃない。いつになったら抱いてくれるのよ」
「気持ちいいならいいじゃねぇかよ」
「そういうことじゃないでしょ!」

怒鳴り出したのですぐに玄関から出た。

「朔馬!」

錆びた階段を駆け下りる。

名前を呼んだのは一度だけで追いかけてもこなかった。

しばらく走るとスピードを緩めて歩く。
乾いてきた指を制服のズボンで拭いた。

確かに相手の秘部に触れて、自分の手によって相手をイかせて、心臓は激しく脈打つ。

でもきっとこれは恋愛じゃない。

郁美のことは嫌いではないがそれとは違う。

本能だ。

なら潤はどうなのか。

男が果てるまでを見て自分が喜ぶのか。

首を傾げる。

男相手にしてやれば俺も潤の気持ちが分かるのかな。

コンビニの横を通る。
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