─接触1

□━
1ページ/13ページ

「なぁなぁ、宮日が女の子振ったってほんとか?」

元気な様子で話しかけてきたのは八雲であった。

待ち合わせ時間をとっくに過ぎてやって来た。

立っているのも疲れるので独りで喫茶店に入って高いジュースを飲んでいた。

「その前に謝れよ。そしてこのジュース代奢れ」
「なぁどうなんだよ」

俺の話をスルーして訊いてくる。

もうそんなに早く噂が回ってくるとは思わなかった。
だって昨日のことだぞ?

「そんな珍しいことじゃねぇだろ」
「デートしたって点では珍しいよな!」

俺はストローをくわえてちびちびとコップの中のメロンソーダを飲む。

「お前そんな話何処で聞いたんだよ」

まだ学校だって始まってないのに。

「部活の後輩」

そういえば今日は朝練があるって言ってたな。

「こえー、マジ女子こえー」

苦い顔でストローに歯を立てた。

「宮日がデートするなんて珍しいじゃんか。好みだったりしたのかな?」
「あいつの好みなんか分かんねぇよ」

男を縛り上げて罵られたい奴のタイプなんか知るか。
想像も出来ない。

「でも可愛い子だったよ」
「告白現場見たのか?」
「横にいたからな」
「お前等いっつも一緒だもんな。宮日と何話すの?」

みんな潤の趣味を知らないのか。

そうだよな。
自分から他人と関わろうとしないし、知らないのが当たり前か。

「にじうさの話とか・・・」
「お前の好きなやつな」
「割と趣味が合うんだよ」

あ、笑ってしまった。

八雲は頬杖をついてにやりとする。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ