─接触1

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八木朔馬、16歳。

趣味は音楽鑑賞。
と言ってもレインボーラビットしか聞かない。

他のアーティストはかじってるだけ。

好きなものはふりかけご飯。
それと運動が好き。

嫌いなものは

「まじクソだわ」

面倒臭いこと。

今週は体育館掃除に割り当てられていた。

週替わりで4人ほどで掃除をすることになっている。

ただモップを持ちながら端から端まで歩けばいいのだが、夏限定の掃除なので暑くて暑くて適わない。

体育館に冷房があるなんて話聞いたことがないが欲しい。

モップの柄にあごを載せ、ステージに座って足を投げ出す。
ぶらぶらさせながら他の奴等がだらだらと歩くのを見ていた。

「八木ー、お前もやれよー」

八雲が振り返って気怠そうに言う。

このゆるふわパーマの男は八雲平介。
出席番号が前後の関係で仲良くなった。

陸上部で、自己記録更新をし続けている成長期真っ只中の彼。

「んな面倒臭いこと誰がするか」

唾を吐くように返した。

「そんな面倒臭いばっか言っててよく息するのは面倒じゃないよな」
「皮肉か」
「当たり」

八雲は端に着く前にUターンをして戻ってきた。

「早く終わらせて部活行きたいんだよー」
「掃除サボればよかったじゃん」
「はっ、俺は八木と違って真面目ちゃんなんです」

八雲は、べっ、と舌を出して俺にモップを投げてきた。

「片付けくらいやっとけよな」
「はぁ?」

文句を言ってやろうとしたが反射的に投げられた柄を掴んでしまって後に引けない。

「じゃあよろしくー」

八雲は軽やかな足取りで体育館を出て行った。
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