─接触1
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微笑みのお人好し。
こいつの第一印象だ。
宮日潤とは席が隣になってからつるむようになった。
最初はただ単に隣だったから話していたが、案外共通の趣味が多くてよく2人で出かけるようになった。
俺が昔から応援していたB級バンドを知っていたし、読んでいる漫画も同じだし、味の好みも一緒だ。
こういうのを運命的な出会いと言うのか。
俺は去年までつるんでいた友人達を放っておいて常に潤と行動を共にするようになっていた。
潤は見た目は華やかで学校で目立つ存在であった。
いくら脱色をしてもさらさらのままの髪は彼の自慢で、他の奴だとチャラく見える金色は異国の王子様を思わせた。
これで瞳の色が青か緑か、とにかく日本人離れした色だったら間違いなく外人に見えるだろう。
数々の女生徒達からの告白を払ってきた。
微笑まれればその煌びやかなオーラに圧倒される。
異人であった。
そのせいか周りは薄い壁を彼に作り始めていた。
1クラスメイトとして扱われ、特に親しい友人は俺しかいないだろう。
俺がいない日は独りで読書をしている。
そんな奴だ。
それに比べて俺は口は汚いし、手は早いし、笑わないしで取り得なんかない。
自慢出来るとしたら罵倒が次々と溢れてくるこの口くらいかな。
・・・自慢になりもしない。
何故潤がこんな俺とつるんでいるのか未だ謎で、それは俺だけが抱いている疑問ではない。
「朔馬」
呼ばれてノートから顔を上げた。
授業終了の鐘が鳴ってすぐのことだった。
今はもう隣の席ではない潤が財布を持って俺の所まで来た。
「早く行かなきゃ学食混むよ」
「今ノートとってんだ。先行ってていいぞ」
居眠りしていたせいで板書出来ていなかった。
潤は首を振って断った。