→素直
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大好きで、ずっと一緒にいたくて、放したくなくて。
素直になれない所が可愛かった。
たまに素直になるのも可愛かった。
とにかく可愛い所も可愛くない所も大好きだった。
目をうっすらと開けた。
日差しのせいで室内が白に包まれている。
瞬きをすると瞳から水滴が零れた。
腕の中で堅く目を閉じている彼。
死んでいるんじゃないかって思うくらいぴくりとも動かず、静かに息をしている。
前髪を掻き分けて額にキスをした。
「拓海」
まぶたが動いた。
「拓海」
もう1度呼ぶと、ゆっくりと目を開けた。
瞳を揺らして俺の姿を捉える。
2、3度瞬きをし、掠れた声で
「圭助・・・」
俺の名前を呼んだ。
大好きな人が戻ってきた。
抱き締めて、髪を撫でて、うなじにキスをした。
拓海はくすぐったそうに身をよじったが抵抗はしてこなかった。
言葉が出てこない。
ただ拓海に触れたくて無言で肌に唇で触れていた。
拓海は俺に抱きついたまま目を閉じる。
さんざん寝ていたのにまだ眠気があるみたいだ。