→素直

□⇔
1ページ/17ページ

大好きで、ずっと一緒にいたくて、放したくなくて。

素直になれない所が可愛かった。

たまに素直になるのも可愛かった。

とにかく可愛い所も可愛くない所も大好きだった。

目をうっすらと開けた。

日差しのせいで室内が白に包まれている。

瞬きをすると瞳から水滴が零れた。

腕の中で堅く目を閉じている彼。

死んでいるんじゃないかって思うくらいぴくりとも動かず、静かに息をしている。

前髪を掻き分けて額にキスをした。

「拓海」

まぶたが動いた。

「拓海」

もう1度呼ぶと、ゆっくりと目を開けた。

瞳を揺らして俺の姿を捉える。

2、3度瞬きをし、掠れた声で

「圭助・・・」

俺の名前を呼んだ。

大好きな人が戻ってきた。

抱き締めて、髪を撫でて、うなじにキスをした。

拓海はくすぐったそうに身をよじったが抵抗はしてこなかった。

言葉が出てこない。

ただ拓海に触れたくて無言で肌に唇で触れていた。



拓海は俺に抱きついたまま目を閉じる。

さんざん寝ていたのにまだ眠気があるみたいだ。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ