→素直

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軽く監禁されてる。

俺は暗い部屋に1人残されて手首を縛るものを解こうと努力していた。

ギチギチと音がして暴れれば暴れるほど食い込んできた。

一体何で縛られているのだ。

首を後ろに向けて見ると薄い水色の紐のようなものが見えた。

縄跳びだ。

小学校で使っていたビニール製の縄跳び。

それを見て諦める。

俺の腕力では到底無理だ。
大人しく拓が帰ってくるのを待とう。

壁に寄りかかって足を投げ出す。

窓から月明かりが射し込んできた。

秋が近付く。

そろそろカーディガンの季節だな。
去年のは小さくなったからまた買ってもらわないと。

母と買い物に行くのは嫌いではない。
殆ど荷物持ちだけど。

それにしても拓海は背が伸びないな。

再会した日から何も変わらない。

俺が気付いてないだけなのかな。
そしたら今失礼なことを思ってしまったかも。

でもあの大きさが何だか可愛いんだよな。

上目遣いを堪能出来るし、腕にすっぽりおさまるような大きさ。

小さいってわけでもなくて。

・・・この非常事態に何を考えているのやら。

本当に俺は危機感がなくて馬鹿らしい。

すると玄関の電気が点いた。
ドアを開けて拓が居間に入ってくる。

随分と時間がかかったな。
こっちは尿意に耐えていたのに。

「遅かった・・・」
「ごめんね。コンビニ行ってきたの」

ビニール袋を床に置いて俺の前に座った。
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