→鈍感

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朝はご飯の方が好きだ。

昨日のご飯を茶碗に盛って温めてからいただく。

ふりかけをかければ朝食の出来上がりだ。

「いただきます」

手を合わせた。

父は既に出かける支度を済ませてテレビで今日の天気を見ていた。

今日は曇り。
暑い日が続いたので涼しくなってくれたらいいな。

父はソファから立ち上がってネクタイを締めた。
父の朝食を作り終えた母はまだ寝ている。

「圭、学校楽しいか?」

俺と同じ顔で父がにこりと笑う。

「楽しいよ」
「隣の拓海君とも同じ学校なんだろ?母さんから聞いたよ」
「あぁ・・・うん」

もさもさと口を動かして米粒を噛み締める。

父は反応の薄い息子に首を傾げたが時計を見てから玄関を出た。

まだ時間に余裕があるな、とインスタントの味噌汁を作ることにした。

袋を開けて中身を出す。

学校は楽しい。

学祭だって待っているし、準備をしているクラスだってある。

夏休みは中尾と泊まりの約束だってした。

楽しいんだけど・・・



「ふ・・・っん」
「圭ちゃん口開けて」
「ゃだ・・・」

あごを掴まれて無理矢理口を開けさせられた。

分厚いものが滑るように入ってきて目を閉じる。

それは生き物みたいに動き回ってすぐに俺の頭をぼうっとさせる。

拓海は顔を真っ赤にさせる俺を見て満足そうに微笑んだ。
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