→鈍感
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学校での拓海は新しい友達も出来、少しずつ遅れた時間を取り戻そうとしていた。
1年分だ。
朝起きたら歳をとってたんだからまだ頭は中学生のままなのかな。
中学の頃よりも丸くなったかもしれない。
相変わらず頭は色が抜けてるけど。
外で体育をする生徒を窓から眺める。
さっきまで俺のクラスが体育だった。
もう夏が来るんじゃないかってくらいの暖かさだった。
授業のつまらなさに校庭に目を向けたらすぐに拓海を見つけた。
新品の長ジャージに身を包んでサッカーをしている。
今の所、拓海のチームが先手を取っている。
拓海がボールを蹴ってパスを回す。
味方チームの中枢人物がゴールを決めた。
ハイタッチ。
むっとして教科書に視線を落とした。
拓海があぁいう体質じゃなかったら俺だってハイタッチくらい毎日しているのに。
過ぎた時間は巻き戻せず、拓海の体に傷をつけた。
「まだあのクラスはハーフパンツじゃないのか」
前の席の中尾が横顔を見せる。
彼は鼻が高い。
漫画みたいだ。
俺達のクラスにはハーフパンツの人間がいた。
中尾もその1人。
「まだ寒いかなって用意してなかったんじゃないの」
「もう20℃いったぞ?」
授業終了の鐘が鳴る。
これでもう授業は終わりだ。
体育組が校舎に入っていくのを確認してから道具を鞄にしまった。
「そうそう、この前の明菜の雑誌、新しいの出たんだけど貸す?」
「あ、いいや。ごめん」
「あれー?気に入らなかった?しわくちゃにしてたから気に入ったのかと」
「あれはいろいろとあってトラウマなんだ・・・」
拓海の淫らな肢体が目に浮かぶ。