△第三篇

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長谷川にバイト先を紹介してもらったらしい。


長谷川君は優しいの。
頭もよくってね。
ピアノが上手でコンクールで賞を貰ったことがあるんだって。
いつも俺のこと気にかけてくれるんだ。
俺、長谷川君のこと好きだな。


円のお気に入りに彼が仲間入りした。

確かに長谷川はいい奴だ。

礼儀があって勉強も出来る。
ある程度の愛想も持っている。

1人を好むのか常に1匹狼で親しい友人の存在は俺は知らない。

帰りのHRが終わり、友人達の止める手を解いて隣の教室に行った。

今日は一緒に帰れないと言いに。

しかし円の姿はなかった。

側にいた友人に話しかける。

「円は?」
「え、知らない。また用事?たまにはうちと一緒に帰ろうよ」

友人はほうきを振り回しながら俺を叩く。

「いつかね」
「最近藤森さん冷たいですわね。そういえば彼女の話聞かないけど独り身なの?」

みんな珍しがっている。
彼女あっての藤森直樹だと言わんばかりに。

ついにお前のモテ期も終わりを告げたな。
友人が安心し切った顔で胸を撫で下ろしていた。

「内緒」

人差し指を立てる。

友人は顔を歪ませる。

「うっわぁ、キザっぽ!あんた顔はいいけどうち絶対付き合えないわぁ」
「失礼だな」
「だって周りの子に殺されかねないよ?」

そんな修羅場に遭遇したくはない。

「直樹!」

ぴょんっと跳んで出てきたのは

「絵里子」
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