■第二篇

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「円、いつになったら諦めてくれる?」

え、何を?

「アメリカ行きを決めた時から、俺達終わってたんだよ」

直樹の冷ややかな笑みが暗闇に浮かぶ。



酷い夢を見た。

起き上がって顔を手で覆う。

汗が酷い。
シャワーを浴びてこようかな。

時計を見るとまだ早朝の5時であった。
自分がこんな時間に起きるなんて。

2ヶ月前の修学旅行以来であった。

着替えをクローゼットから出して風呂場に向かった。

今年の学校行事は終わり冬休みが待ちかまえていた。

多分今年も俺は補習対象者だろう。
今回のテストは本気で頑張らなくては。

直樹が帰ってくるまでに成績を上げてやると決めたのだ。

未だにそれは実行出来ていない。

野沢や宮野に理科の勉強を見てもらっているのになかなかテストの点数が伸びないのだ。

やはり苦手分野というものがあるのだろう。
現代文の点数はすこーしだけ高くなったが、理系が駄目駄目。

見るに耐えられない。

・・・直樹はいつ帰ってくるの?

夢に見た直樹の冷たい表情を思い出す。

はっきりとまぶたの裏で見た。

本当に直樹は帰ってくるのだろうか。

1年、また1年と伸びていつか永住したりして。

考えられないことじゃない。

だって直樹は進む道が決まっているから。
確かな夢を持っているから。

チャンスがあればきっと直樹は俺の側には戻って来ない。

それは俺だって望んでいることだ。

だけど・・・やっぱり離れてしまうのはさみしい。
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