■第二篇

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「雪が降っていないのに北海道ですって!?」

佐伯君は黒板を叩きながら野沢に攻め寄る。

「前から言ってたじゃないか」
「俺そんなの聞いてないぞ!」
「聞いてない君が悪いんじゃないか」

野沢は呆れ顔で言う。

長谷川君はもちろんのこと知っていたが、当たり前のように俺は知らなかった。

どうやらこの学校は修学旅行の時期が秋になったらしい。
秋真っ只中。

北海道と言えば冬。
スノボにスキーに雪だるま(?)。

なのに北海道ですら雪が降っていない10月に修学旅行だなんて。

佐伯君はぶちぶち文句を言いながら教壇を下りた。

「学校様の言うことは絶対だもんな〜。楽しみにしてたのにな」
「逆に豪雪のせいで飛行機が止まらないからいいじゃないか。幸運だと思わなきゃ」

すかさず長谷川君がフォローに回る。

「まぁ毅が言うならそういうことなのかもしれない・・・仕方ない」

佐伯君はうんうん頷いた。
そして俺と長谷川君の肩を組んでしゃがみ込む。

「お前等に面白いこと教えてやろうか」
「面白いこと?」

俺は面白いこと、楽しいことが大好きだ。

「山田が骨折入院した」

重大なニュースに一同目を丸くする。

山田とは同じグループの1人だった。
佐伯君とは同じサッカー部で、意外なことに大人しい人物だ。

その山田君が修学旅行を目前に骨折入院をしたのだった。

「それ全然面白くないよ・・・」

長谷川君は溜息を吐く。

「だから今日お休みだったんだね」
「野沢もいちいち教えないんだな。山田かわいそうに」

と言いつつ笑う佐伯君。
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