■第二篇

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「修学旅行のグループを教えろだぁ?」
「あぁー、怒んないでよー・・・」

野沢が素っ頓狂な声を上げた。

俺は机の下から椅子を引っ張り出して腰をかけた。

現在、物理の時間が終わった昼休み。

最近は物理室で昼食を摂っている。
きちんと片付けるなら貸してもいいとのことで野沢の許可は貰った。

黒いテーブルに弁当箱を置く。

「グループ気になるもん・・・」
「知った所でどうするつもりなの?」

野沢は腕を組んで顔をしかめた。

「どうって・・・心の準備・・・」

不安で仕方がない。

今までに味わったことのない不安の味であった。

今までなら嫌だと思ったら修学旅行なんか行かなくてもよかった。
無理矢理連れて行こうとする人もいなかったし。

第一俺が旅行に行かなかったら旅費が浮くから困る人は絶対にいない。

俺の顔をみたくなければ家に帰ってこなければいいのだ。

それが続いていたので修学旅行に行くと宮野に行った時は、それは大変な夜であった。

毎年この時期は宮野を心配させてしまっているから。

一緒に買い物に行きましょうとまで言われてしまった。

野沢はふーっと息を吐いて机に体重をかける。

「あのね、グループっていうのは先生が決めるんじゃないんだよ」
「え、違うの!?」

それだったら心の準備をしなくたっていい。

俺は身を乗り出して野沢に詰め寄る。

「くじ引き!?あみだ!?」

野沢は俺の顔を掴んで押す。

「話し合いだよ」

・・・話し合い・・・・・・。

1番苦手な手法じゃないか・・・!

話し合いというものが大の苦手だ。

意見を言えば否定され、言わなかったら文句を言われる。

小学校の授業で苦い思い出がある。
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