■第二篇

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ゲルの水槽、いや、部屋の掃除を始めたクリスは楽しそうであった。

外に部屋を持って行き、水で洗う。

その間ゲルは大人しく彼の肩に載っているのである。

「そこのスポンジ取ってくれる?」

彼曰く掃除洗濯は好きらしい。
特にゲルの掃除タイムは至福の時間らしい。

ただ時間がなかったり、読書に集中していると掃除は後回しになる。

俺は玄関に続く階段に座り込んで側にあったスポンジをクリスに投げた。

ナイスキャッチでスポンジを受け取って壁を擦る。

ゲルは感謝の気持ちを込めてクリスの頬を舐める。

本当に仲良しだ。

「何か手伝おうか?」
「ううん。これは僕のお楽しみだから」
「そう」

側で見ていて欲しいと言われてこうして自分も外に出ているわけだ。

クリスは丹念に壁を磨き上げると額の汗を腕で拭った。

「日本に帰りたいかい?」

クリスが突然訊く。

帰りたいとは思うが、まだここにいてもいいとは思う。

目標は1年なのでそれが過ぎるまでは帰らないつもりだ。

たまに恭平が電話をくれるし。

そういえば、とポケットからケータイを取り出した。
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