■第二篇

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登校して最初にすることは机の中に教科書を入れることだ。

いつものように突っ込むと固いものに当たって、教科書が引っかかる。

何だろうと覗き込むと長方形の箱が入っていた。
筆箱くらいの大きさだ。

それを出すと隣の席の友人が声を上げる。

「きたよ、藤森の季節!!」

友人は心底羨ましそうな表情を浮かべてにじり寄ってくる。

「お前一体毎年幾つ貰ってるんだよ!吐け!」
「数じゃないだろ。みんな義理なんだから」
「貴様は天然か!絶対本命入ってるだろうに!」

そんなことを言われても、俺は女友達が多いし。

毎年友達チョコならぬものを袋いっぱいにいただく。
生徒会も含め。

騒ぐ友人を横に包みの隙間に挟まっている紙切れを見つけた。
それを引き抜く。

手紙であった。

「手紙だ!」

当たり前のことを言う友人。

「うん、そうだね」

俺は箱を鞄に入れて手紙だけを持って席を立った。

友人の前で読むわけにはいかない。
ついて来ようとしたのをすかさず止める。

手紙をポケットに入れて廊下の端まで来た。

朝早かったので登校していた生徒は少ない。
廊下に誰もいなかった。

封を開ける。

小さな字で書かれてある誰かの想いであった。

困ったな。

俺には今彼女がいる。
付き合って3か月が経った。
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