■第二篇
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当たり前のことから先に言おう。
見渡す限り外人。
金髪やら茶髪やら黒髪やらで溢れている。
東京の街並みを思わせる。
飛行場には日本人らしき人がぱらぱらと見られたが市街地の方に足を運べばすぐに消える。
日本と雰囲気が違うだろうと思ってはいたが、日本の洋式化が進んでいるので大して家の形に変わりはない。
逆に日本人らしい格好をした若者がいて珍しかった。
やっとのことでお世話になるウィリアム家に到着。
白い木製の2階建てはドールハウスを思い起こさせるものであった。
芝生を敷いた玄関前の庭で犬が走り回っているのが遠くから見えた。
きっと誰かが外で作業をしているのであろう。
あれは何の種類の犬だろう。
雑種に見える真っ白い犬。
丁寧にブローをされていた。
俺がキャリーバックを引きずりながら近付いて行くとしゃがみながら花壇をいじっていた家の人と目が合った。
まだ距離はあったのににこりと笑いかけられ、立ち上がる。
「こんにちは」
向こうから挨拶をされる。
肩まで日陰になるツバの広い帽子を深く被った女性であった。
金髪を1つに結っていた。
ふくよかな体で俺にハグ。
「初めまして、会えて嬉しいわ。私はマリー」
「こちらこそ。よろしくお願いいたします」
「さ、どうぞ中へ。みんな待ってたのよ〜」
マリーは俺の背中を押して家の中に入れてくれた。
後ろを犬が追いかけてくる。
恭平を見ていて分かったが外国の人はボディーランゲージが豊富である。
体同士を密着させて敵ではないよ、と伝えているようであった。